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第1回目 音と香り:感動体験を言葉と非言語にのせて伝える

更新日:2019年3月18日

2019年2月15日〜17日



今年で3年目となったTOMODACHIふくしま香LINKプログラム の第1回目が2月15日〜17日の3日間、福島県南会津郡下郷町で開催されました。


2019年のTOMODACHIふくしま香LINKプログラムのテーマは「音と香り」です。音を使って具体的に福島を発信し「音と香りを活用した福島県の観光」に繋げていくことを目的として、参加者の高校生・大学生が福島県の観光に置けるブランディングを学んでいます。


今年の活動は最終活動結果発表を含めて4回を予定しており、毎回それぞれの業界のスペシャリストをゲストに招いて、体験し、感じ、学び、伝える力に変えていきます。


第1回目は、昨年の2月にもオリジナルデザイン&香りで演出をした、一夜限りのお祭り「なかやま雪月火」が舞台となりました。

福島の壮大な雪景色と今年は2019個のかまくら、そしてキャンドルが織りなす幻想的な美しさは日本夜景遺産にも登録されています。



キーワードは「感性を開く」「言葉を使った表現」「非言語を使った表現」の3つ。

人の感性は開くものであり、そしていとも簡単に閉じてしまうものです。

感性を開くにはたくさん体験して、感じること、考えること、そして伝えることです。


まずは「感性を開く」ワークショップ。

16日朝から、かまくら作りをスタートしました。





かまくらのデザインを考えたのは、2期のコアメンバーであり、2018年8月の最終発表でなかやま雪月火の香りを使った新しい観光PRを発表した横山温香(よこやま・のどか)さんとエアアロマジャパンの担当メンター。






>レポート:第6回 観光と香り: 香りを使った新しい観光のPRコンペティションはこちら

>学生発表動画はこちら



1つ目のかまくらのテーマは「言の葉(ことのは)」。地面に力強く根を張り、天井まで伸びる枝には葉に見立てた蝋燭が灯ります。



2つ目のかまくらのテーマは「月あかりと雪月火」。かまくらの中に広がる小さな雪月火の世界、空に浮かぶのは月に見立てた蝋燭の火です。



実は今回、かまくらのデザイン以外にも横山さんが8月に発表したPRのアイディアを取り入れたサプライズがたくさん盛り込まれていました。


なかやま雪月火が開催される数週間前、学生メンバーと社会人メンバーには香り付きの招待状が送られていました。

実際に参加した社会人メンバーが書いたストーリーをご紹介します。


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香りの招待状に誘われて、いよいよ「なかやま雪月火」へ。


一面の銀世界にポコポコ生まれた小さな2019個のカマクラにみんなで火を灯したら、幻想的な風景が目の前に。

雪と月=【自然】と、火(灯)=【人間】が織り成す美しい世界にうっとり。


そして、招待状に書いてあった時間に、大きな2つのカマクラの前に行くと、蝋燭の灯りを持ってカマクラの中に入るように促される。


あっ カマクラの中にはあの招待状の香り。

ボンヤリと明るい、雪なのに温かいその空間の静寂の中で、静かに舞う女性。

月に向かって手を伸ばすような仕草が、天に向かって燃える蝋燭の炎に重なって見えた。



舞い終わると、

隣のカマクラに移動するように促される。

またあの香り。

1人の女性が座っている。

全員が座ると、詩の朗読が始まった。


「お月さまほしい」


あとから聞いたら、中島みゆきさんの唄の歌詞なのだそうだ。

けれど、アニメ「銀河鉄道の夜」のジョバンニの声みたいに、中性的で少年のような声でゆっくり読まれたその詩は、歌よりも、ものすごくダイレクトに胸の中に入って来た。


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君が今頃 泣いてるんじゃないかと思ったんだ

ひとりだけで

泣いてるんじゃないかと思ったんだ

どんなにひどい1日の終わりでも

笑って帰って行った君だから

夜中にひとりで

泣いてるんじゃないかと思ったんだ

君をかばう勇気も なぐさめも

何ひとつ浮かばず 見送った

己れのなさけなさに さいなまれて

君に何か渡してあげたくて

何かないか 何かないか

探し回ったんだ

夜中の屋根で猫は跳ぶ

呼んで跳ぶ

泣いて跳ぶ

夜中の屋根で猫は跳ぶ

呼んで跳ぶ

泣いて跳ぶ

君に贈ってあげたいから

お月さまほしい

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カマクラの外に出たら、今日みたいに

綺麗な月が見えた。


何故だか、泣きたい気持ちになって、

「君に贈ってあげたいから、お月さまほしい」

と言っているその人に、

「大丈夫だよ。私も同じ月を見ているから、貴方の気持ちは伝わっているから、大丈夫」

と言ってあげたい気持ちになった。


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実は、招待状には、「雪」「月」「火」の3種類があり、招待状に「雪」のマークがある人は「雪」からインスパイアされた踊りと、「雪」を題材にした詩を体験、「月」のマークがある人は「月」、「火」のマークがある人は「火」をテーマにした体験をしたのです。


2つのかまくら中で特別な体験をした後は、なかやま雪月火会場をみて歩きます。

テーマの違う詩を聞いて、踊りをみて、優しさや怒り、思いやりの心、切なさ、世の中の美しさ、人間の醜さ、それぞれが違う感情を持ち、同じ風景を眺めました。



 

翌日は感動を言語化するワークショップ。

言葉について考え、言葉を使った表現について学び、実際に言葉を使って自分たちの体験を詩にしていきます。


まずは、昨晩「なかやま雪月火」を体験したあとに出した感情のキーワードと色の印象を見直し、マッピングしていきます。


「孤独」という言葉は、踊りの印象と合わさると「1人ではなく前向きな孤独」になり、「雪」は、谷川俊太郎のあたたかい詩と合わさると「ぽかぽかと暖かい雪、黄色やオレンジ」の印象にマッピングされました。



次に、その言葉と感情のマッピングをみながら、自分が体験したことを「詩」で表現して、みんなで共有します。




朗読をするにあたって、フリーアナウンサー 佐藤千晶さんによる「感情を乗せた言葉の伝え方講座」を開催、生きた言葉を伝えるためのコツを教えていただきました。



学生が詩の朗読をし、そしてその朗読からインスパイアされた踊りを舞踏家の則枝千絵さんが踊ります。言語と非言語の表現、表現方法は違いますが、不思議と行き違いなく感情がお互いに伝わっていることが分かります。



最後に参加メンバーには、


「勇気を持って感性を開いてください、感性を開くと色々なものが見えてきます。そして、伝えるということをしてください。言葉でも非言語の表現でも100%は伝わらないかもしれない、でも大切なことは『言葉』でも『踊り』でも『香り』を使ってでも、感じたことを伝えようとすることです。」


と伝えられました。



次回の TOMODACHI ふくしま香LINKプログラム 3期 2回目はいよいよ「音」がメインテーマになります。

スペシャルゲストにもお越しいただきますのでお楽しみに!

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